ギターはピック弾きが基本ですが、指弾きによるアルペジオが弾ける事で演奏の幅が広がります。指弾きでしか出せないニュアンスに魅力を感じ挑戦してみたい方も多いのではないでしょうか?
習得するまである程度の時間はかかりますが、今回は一つ一つ指弾きによるアルペジオの基本を押さえながら解説していきます。
又、ピック弾きと比べ具体的に何が違うのか、どんな事が出来るのかという点にも触れていきますので是非参考にして日々のギターライフに役立ててもらいたいと思います。
目次
1、アルペジオとは
指弾きの弾き方について解説する前にまずアルペジオとは何なのかを説明致します。
簡単に言うとコードを同時にまとめて弾くものに対して一音一音を分けて弾く奏法を指します。その中でアルペジオはピックで弾くか指弾きの2つのパターンに分けられますが、今回は指弾きについて見ていきます。
ギターを弾くにあたりアルペジオはとても頻出度の高い奏法の一つになり、コードストロークとはまた違った印象を聴く側に与え、曲中でコード感は出したいけど音量は抑えたい場面や、バラードなどゆったりと流れるようなジャンルにはとても合う為にアルペジオは使われているのです。
2、アルペジオのピック弾きと指弾きの相違点
次にピック弾きと指弾きの各弾き方による違いを見ていきます。
①ニュアンスによる違い
指弾きは丸く温かみのある音がするのに対しピック弾きは硬く輪郭がハッキリとした音がするのがそれぞれの特徴になりますが、指弾きでは柔らかい皮膚と爪が弦に当たる事が関係しており、反対にピック弾きでは常にピックが弦に当たっている関係で硬めの音になります。
(ピックの種類や硬さによって多少音色は変わります)
弦を弾く時のアタック音を聴けば違いが良く分かるでしょう。
②音量による違い
指弾きによるアルペジオは温かみのある音色ではありますが、ピック弾きに比べると音量は下がります。
ですが、右手で弾くポジションによって音色の違いがピックよりも分かりやすいという利点があります。
サウンドホールよりブリッジ寄りで弾けば硬めのサウンド、サウンドホールよりネック寄りで弾けば柔らかめのサウンドになりますので、音色の違いが指弾きアルペジオでは出しやすく好みに応じて弾き分けられます。
アルペジオをギターで弾く際は曲によって指弾きとピック弾きで使い分けても良いのではないのでしょうか。
③アルペジオのパターンによる違い
指弾きとピック弾きではどちらもアルペジオを弾く際に部分的に和音を取り入れながら弾く事が出来ますが、弾けるパターンが異なってきます。
指弾きでは各指(親指、人差し指、中指、薬指)が各弦に対して弾く弦を担当して動きが独立している為、アルペジオの中で特定した弦を同時に鳴らした和音弾きが可能です。
それに比べピック弾きでは基本は弾く弦はピックのみになってきますので特定した弦を同時に鳴らす事は出来ません。
和音を組み込むと押さえている弦の殆どを鳴らす形になるので指弾きとはアルペジオのパターンが異なり、アルペジオに和音を組み込むというよりかはストローク弾きとアルペジオ弾きを分けて行う形に近くなります。(譜面①参照)
譜面①
3、指弾きの基本フォーム
ここの項目では指弾きを行う際の右手の基本フォームについて見ていきます。
アルペジオのスタイルも3フィンガー(親指、人差し指、中指を使用)と4フィンガー(親指、人差し指、中指、薬指を使用)に分かれますが、今回は多く使われている4フィンガーで解説致します。
親指の基本はコードのルート音である低音弦(4~6弦)を弾き、人差し指は3弦、中指は2弦、薬指は1弦を基本的に弾きます。
親指は立てず添えるように構えましょう。アルペジオで特に大切な音がコードのルール音になるので親指の関節が曲がってしまうと音量を稼ぐ事が出来ない為、ここは気を付けたいところです。
親指は人差し指よりもネック側に出ている事が望ましく、そうする事で安定して指弾きでアルペジオを弾く事が出来ます。
親指以外の指は基本的に各指を添えて弾きましょう。(写真①②参照)
写真① | 写真② | |
そうしないとアルペジオを弾く際にスムーズに行えなくなりリズムが乱れやすくなります。又、一音一音を弾く音の音量にもムラが出るので音の粒が揃わなくなる為、こちらも気を付けたいところです。
以上の点をまずは守って意識出来ると良いです。
4、指弾きでのアルペジオの弾き方
それでは実際にギターでの指弾きアルペジオの弾き方について見ていきましょう。
指弾きで行うアルペジオのパターンは色々ありますが、ここでは基本的な練習パターンと実践的なコード弾きについて触れていきます。
まず初めに基本的な練習パターンになりますが、左手は何も押さえずに右手に集中して弾いていきましょう。
親指(p)は4~6弦を担当し、人差し指(i)は3弦、中指(m)は2弦、薬指(a)は1弦を担当しますので親指を6弦、人差し指は3弦、中指は2弦、薬指は1弦に各指をセットしましょう。
譜面②を参考にしながら親指は6弦から4弦の順に下りていき再び5弦に戻ってきます。
譜面②
先程解説したフォームに気を付けてbpm70の8分のリズムでくり返し行うことで右手の弦と弦同士の間隔が掴めて指弾きの基礎力が向上します。
この時に小指をボディに添えて弾くと右手が安定して弾けます。
次も指弾きアルペジオの基本的な練習パターンになりますが、先程弾いていった高音弦のパターンの順序が逆になったものになります。(譜面③参照)
譜面③
こちらもフォームに気を付けてbpm70の8分のリズムでくり返し行いましょう。
最後にコードでの実践的な指弾きアルペジオになりますが、2パターンあります。(譜面④参照)
譜面④
ゆっくり各音がしっかりと重なって鳴るように丁寧に弾いていきましょう。
5、まとめ
いかかでしたでしょうか。
今回はギターの指弾きアルペジオの弾き方ついて解説致しました。
基本的な事を中心に述べてきましたが、ギター上達のカギは基礎力向上にありますので、
まずは今回の内容は押さえておきたいところです。
ピック弾きによるアルペジオについては別の機会に解説致します。
是非指弾きに挑戦してもらえればと思います。
フィールドミュージックスクールギター講師。 都内を中心に積極的にバンド活動を行う一方、様々なアーティストのサポートなどで、Zepp Tokyoや渋谷公会堂などのホール、さらには海外のツアーを経験し、セッションイベントでのサポート演奏も行う。