ベースを弾けるようになってくると誰もが憧れるのが、スラップ奏法(チョッパー奏法)ではないでしょうか。
先輩のベーシストやプロのアーティストがキレのいい音を響かせていると、「自分もやってみたい」と思います。
しかし、いざ真似してみると難しく感じてしまうこともあるでしょう。
スラップ奏法を身に付けるまでには練習量をこなす必要がありますが、一度やり方とコツを覚えてしまうと意外と簡単にできるものです。
そこでベースのスラップ奏法や弾き方のコツを紹介します。
目次
スラップ奏法はサムピングとプルの合わせ技
複雑に見えるスラップ奏法ですが、実は親指で低音弦を叩くように弾く「サムピング」と、人差し指で高音弦を引っ張って弾く「プル」を組み合わせた技法です。
弦を弾く方の手を親指だけを立てた形にして、サムピングとプルを繰り返して弾きます。
このように分解してみると理解しやすいですが、スラップ奏法を覚えるには、この2つの弾き方ができるようになる必要があるのです。
そのため、まずはこの2つを覚えて、きちんと一定の音が出せるようにすることが大事です。
スラップ奏法の場合は、サムピングは親指を立てた状態で最終フレット近くの弦を叩くように弾きます。
親指が弦に当たる時は指と弦の位置がほぼ水平になり、弦を叩いた後は少々斜めに振り抜くイメージです。
サムピングで繰り返し弾くと、指が弦に当たって跳ね返り手が半回転しているようにも見えます。 的確に弦に指が当たるように練習しましょう。
プルは「プラッキング」とも呼ばれ、主に人差し指を弦に軽く引っ掛けるようにして弾きます。 弦と本体の間に指の先を潜り込ませるようにして、少しだけ引っ張るイメージです。
余分な力は入れずに、リラックスして引く程度で大丈夫です。 プロの中には、強めに弦を引っ張って音を出すベーシストもいます。
しかし初心者は基本をマスターするために、まずは同じ強さの音が出せるように意識しましょう。
スラップ奏法での手のフォームは、拳よりも開いた状態で親指だけ立てた形です。
この手の形にすることで、サムピングで低音側の弦を叩いた後にプルで高温側の弦を弾き、再びサムピングで弦を叩くというように繰り返すことができます。
この時、サムピングの時は次に弾くプルの形に、プルの時は次に弾くサムピングの形に自然に入ることができるのです。
スラップ奏法のバリエーション
基本的なスラップ奏法では、親指を弦と水平状態にしてサムピングします。
親指を細かく動かすことができるので、速いテンポで弾いたり繊細なテクニックをアピールしたい場合に使いやすいです。
一方で、少々変化球的に親指を下向きにして弾く技法もあります。
通常のサムピングが指で弦を上から叩くように弾くことから「サムダウン」と呼ぶのに対し、この親指を下向きにする奏法は「サムアップ」と呼ばれています。
サムアップでは、プルのように弦の下に親指を潜らせ引っ張るように弾くので、パワフルな音が出やすいです。
サムダウンとサムアップの弾き方を駆使すると、ピックで弾いたような音を表現することもできます。
通常のプルは人差し指を使って弾きますが、他の指も使って弾く方法もあります。
例えば、人差し指と共に中指も一緒に使って2回連続で弾く「2連プル」という弾き方が知られています。
さらに薬指や小指まで総動員すると4連プルまで可能になるので、表現の種類がより多彩になるでしょう。
「ロータリー奏法」というコンビネーション技は、その名の通り親指を回転させているような弾き方です。 サムダウンとサムアップ、プルを繰り返して行うので、より繊細でテクニカルな演奏ができます。
さらに連続プルと組み合わせて弾くと、音の多い楽曲にも幅広く対応できるようになるでしょう。 曲やバンドのイメージに合った弾き方を試してみるのも面白いです。
何だかうまくいかない!?スラップ奏法のコツとは
スラップがうまくできないときは、まずはゆっくりとした速度で確実に身に付けることが大切です。
弦を弾く手に余分な力が入っている場合は、リラックスして力を抜いてみましょう。 サムピングとプルの音を一定に出せるように意識して、同じリズムで弾けるように練習します。
繰り返し練習すれば誰でも慣れてくるので、いずれ早いテンポにも対応できるようになります。 初めのうちは、複雑な楽曲よりもシンプルな曲を練習台にすると良いでしょう。
スラップ奏法に適したベースの種類
ベースには様々な種類があるので、「もしかするとスラップ奏法がしやすい種類があるのでは?」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、扱いやすいベースは出したい音や弾き手によるので、スラップがやりやすい種類というのは特別ありません。
ただ、おおよその向き不向きは言われているので、参考にはできるでしょう。
比較的な話ですが、スラップにはアクティブのジャズベースが合っているとされています。
何故なら、アクティブベースやジャズベースの方が力強く輪郭のはっきりした音が出るので、スラップ奏法を活かせる楽曲に似合うと言われているからです。
もちろんパッシブベースやプレシジョンベースでも、機材の選び方や設定次第でスラップ奏法を多用する楽曲に合った音を出すこともできます。
ベースはスラップ奏法をするかだけでなく、自分が演奏したい音楽のスタイルを重視して選ぶ方がおすすめです。
まとめ
ベーシスト初心者が憧れるスラップ奏法のやり方とコツを知ると、意外と簡単に音を出せることが分かると思います。
しかしテクニックを磨くためには、やはり基本が大事です。
時には地道な練習も必要ですが、楽しく弾き続けて観客を魅了する演奏を身に付けましょう。