こんにちは。ボーカル講師の淵岡です。
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今回は、あいみょんさんの「マリーゴールド」を歌った時に気を付けた点を書いていきたいと思います。
歌った時の動画はこちら
この曲は、
【最高音】hiB(B4) ◎真面目に見つめた 君が こ“い”しい ◎懐かしいと 笑えた “あ”のひ”の” 恋 ◎“ふ”たり“の” 想いが 同じで ありますように ◎雲のような優しさで そっとぎゅっと 抱きしめて “は”な“さ”ない 【最低音】mid1F# (F#3) ◎風の強さがちょっと “こ”ころをゆさぶりすぎて になっています。
この音域は、日本人女性にとって高すぎず低すぎず原曲キーのままでも比較的に出しやすい音域かと思います。男性の場合はオクターブ下げて歌うことも可能です。
(男性で低音が苦手な方は、原曲から-♭2、-♭3してください。) この誰でも口ずさみやすい音域の設定は、「マリーゴールド」が老若男女に受け入れられた理由の1つであると思います。
また、テンポも【BPM106】と、速すぎず遅すぎず、子供からお年寄りまで皆がリズムに乗りやすい丁度良い設定になっています。 他にも【BPM106】の楽曲は、AKB48さんの『365日の紙飛行機』、氷川きよしさんの『きよしのズンドコ節』、ジブリ映画「魔女の宅急便」の挿入歌『海の見える街』など名曲が揃っています。
あいみょんさんは作曲する際、相当考えれて作られたのでは…と思ってしまいます。 簡単に言ってしまえば、この「マリーゴールド」は、どなたでも歌いやすく親しみやすい楽曲であると言えます。
ですが、この“どなたでも歌いやすい”という点がボーカルにとって厄介になってきます。 ただ歌うだけなら誰でも出来てしまいますが、そこに技術(上手さ)をプラスするのが何よりも難しく大変なことだからです。
私が「マリーゴールド」を歌うときに気を付けた点を3つのポイントにしてみました。
目次
①言葉の頭をハッキリ出す
「マリーゴールド」は、全体的に音程の高低差があまりありません。
なので日本語を意識せずに歌うと言葉の切れ目が分からなくなります。悪い意味でお経のようになってしまうのです。なので、言葉の頭に少しだけアクセント(強調)を付けました。
そうすることによってリズムも整ってきます。
②強弱(緩急)を考える
これも①で書いたように「マリーゴールド」の音程の高低差の狭さからくる注意点ですが、サビの部分以外はなるべく音量を落としました。
これは、サビになってもあまり高い音域にならないので、Aメロから音量を出してしまうとサビに入っても音量が上がらずに抑揚がつかないためです。このように気を付けても中音域は音量に差が付きにくいので苦戦しました。
③ファルセット(裏声)を使う箇所
最初でお話した最高音(hiB)は、曲の中で何回か出てきますがどこの部分でファルセットを使おうか、それとも使わずに歌うか悩みました。
結果、今回は原曲通りに最初のAメロ部分『真面目に見つめた君がこ“い”しい』の『“い”』だけファルセットにしました。ファルセットにすると柔らかく繊細になるので歌詞の表現とも合うと思います。
後半に出てくるhiBにはファルセットは使わずに力強く歌い切る意識をしました。
~応用~
歌詞の解釈について 先ほどの①~③は基礎的なことや技術的なことでしたが、それにプラスして考えいかなければならないのが歌詞の解釈についてです。
楽器と違い歌には“歌詞(言葉)”があります。この歌詞をどう歌うかによって曲の雰囲気も変わりますし、歌う人の個性に繋がります。 そして、これは、「マリーゴールド」を歌う上で最も難しい部分だと思います。
この曲は、とても分かりやすい言葉を使っていますが、詞の中身を理解しようとすると曖昧な表現がいくつもあり聴く人によって色々な解釈に分かれる曲だと思います。
聴く側は好きな解釈をして良いと思いますが、歌う(演奏する)側は楽曲分析をし、自分なりの解釈を持って歌うべきだと思います。ぜひ自分で歌詞を読み解いてみてください!
~最後に~
歌ってみて、改めて良い曲だなと感じましたが、同時に、この曲を上手に歌うのは大変難しいなと思いました。 実際、動画での演奏には反省点もたくさんあります。
ですが、まずは歌ってみないと改善点も見えてきません。 『難しそうだから止めておこうかな…』 『この曲は高い(低い)からキーが合わないかも』 『女性(男性)の曲だから僕(私)には無理かな』 などなど。 不安は挙げたらキリがありません!
まずは、迷わず歌ってみましょう! 何か必ず発見があるはずです。