こんにちは。フィールドミュージックスクールドラム講師の森田です。
今回は、ドラムスティックの持ち方について解説していきたいと思います。
ドラムを始めて間もない方がまずはじめに「スティックってこの持ち方でいいの?」ということに疑問を持つ方もいらっしゃるのではないかと思います。
何年もドラムを叩いている方もドラムスティックの持ち方や叩き方が合理的ではない為「正確に叩けない」「早く叩けない」「アクセントをつけられない」といったことが多々あり改善しようとしてもそれまでのクセがついているせいかなかなか治らないのが現状です。
ドラムスティックの持ち方はこれが正しい!というものはありませんが、合理的な持ち方や叩き方をすることでより早く正確に叩くことができるのでぜひこの記事を参考にして自由自在にスティックコントロールができるようにしていきましょう!
目次
2種類のグリップ
ドラムスティックの持ち方には大きく分けて2種類あります。どちらの持ち方を選択していただいても構いませんが、余裕があれば叩く曲調などによって2種類とも使い分けられるとベストです!
レギュラー(トラディッショナル)グリップ
左手の中指と薬指にスティックを挟み、左右の手で違う持ち方をするこのグリップは、元々ヨーロッパの軍楽隊が行進しながら肩に小太鼓(スネアドラム)を吊るし叩く際にこのグリップが生まれたと言われています。
腕と太鼓との距離が近いためマッチドグリップのように縦に持つと叩きにくかったため手首を回転させ叩きやすいこの叩き方になりました。 ドラムセットでもこのレギュラーグリップで叩くドラマーもたくさんいます。
メリット
①タム移動など横の移動が楽にできる
②指を使った細かいロールなどが比較的楽に叩ける
③ハイハットを左手で叩く際などに、楽器との距離が近くても叩きやすい
デメリット
①音量の幅を出すのが難しい
②スティックが内側を向いているので左手で左側のクラッシュシンバルなどが叩きにくい
③スネアドラムとハイタムなど縦の動きに弱い
マッチドグリップ
マッチドグリップとは、スティックを親指と人差し指でつまみ左右の手とも同じ持ち方をするグリップです。
ドラムを叩く方の大半がこのマッチドグリップかと思いますが、ジャズを演奏する際のブラシ奏法ではレギュラーグリップを使用した方が叩きやすく細かなニュアンスが出しやすいので、ブラシで演奏する場合はそちらもマスターしておくといいでしょう。
また、マッチドグリップにはさらに3種類の持ち方がありそれぞれ名前がついています。
フレンチグリップ
フレンチグリップは、親指を上に向けた持ち方で主に指で細かく叩く際に使用されることが多い持ち方です。
フレンチグリップは、スネアドラムを叩く場合は手首が腕の延長線上より中に入る叩き方になることが多いので、どちらかというとライドシンバルなどを細かく叩く際に使用されることが多いようです。
メリット
・早く叩くのが比較的叩きやすい
・音量を均等に出しやすい
デメリット
・手首を使った叩き方をすることが難しい
・音の強弱をつけにくい
・手首の可動域が小さいため手首を使った叩き方ができない
・体より高い位置にスティックが上がらない為、大きな音量が出ない
ジャーマングリップ
ジャーマングリップは、手の甲を上に向けた叩き方でドラムよりもティンパニやグロッケンなどクラシックの打楽器奏者に多く見られる叩き方です。
スティックを自然に持った時、腕とスティックが90度近くになるためスティックを振り上げた時に肩よりも外側にスティックが返るようになります。
メリット
・叩く場所がブレにくい
デメリット
・手前に指が向いているためフィンガーコントロールが難しい
・腕との延長線上にスティックがないため力を効率よく伝えることができない
アメリカングリップ
アメリカングリップは、フレンチグリップとジャーマングリップの中間の持ち方で肩から腕、手首、スティックが一直線上になりリストショットやフィンガーショットなど一番演奏の幅が広く表現できるグリップです。
ドラムでは、一番合理的なグリップなのでこのアメリカングリップを身につけていくといいでしょう。
メリット
・音のダイナミックスつけやすい
・腕、手首、指をそれぞれ使った叩き方ができる
・肩からスティックまでが一直線上なので、力が伝わりやすい
・ドラムで叩くほとんどのテンポや表現をアメリカングリップでまかなえる
デメリット
・特になし
レギュラーグリップでの持ち方と叩き方のコツ
レギュラーグリップでのスティックの持ち方ですが、右手の持ち方はマッチドグリップと同じなのでそちらを参考にしてください。 ここでは左手の持ち方のみ解説していきます。
レギュラーグリップでのスティックの持ち方
①スティックを親指の付け根にはさむ
②薬指、小指の2本を曲げ薬指の第1関節と第2関節の間あたりにおく
③人差し指をスティックの上からのせ薬指と挟むように持つ
④中指はスティックに添える程度につける
レギュラーグリップでの叩き方
レギュラーグリップでの手首の動きは横方向に動かしていきます。
手のひらを上に向けるように手首を回し、そのまま親指を内側に入れるように手首を返します。 指を使って叩く場合は、人差し指と薬指の中でスティックが動くよう叩いていきます。
マッチドグリップでの持ち方と叩き方のコツ
マッチドグリップでのスティックの持ち方と叩き方を解説します。叩き方はドラムを叩く際に一番効率の良いアメリカングリップでの叩き方を解説していきます。
マッチドグリップでのスティックの持ち方
①スティックを親指と人差し指でつまむ
②残りの3本の指はスティックに軽く添えるように持つ
マッチドグリップでの叩き方
スティックを持ったら腕の内側親指の内側が一直線になるように手首を少し外側に返します。
さらにスティックを振るときにスティックが肩より外側に返らないように親指を天に向くように少し返します。 スティックを振る時はスティックの先端から上がらないよう手首から上げ手首がトップの位置にきたらスティックの先端を返すようにしましょう。
返る位置は肩に返るよう意識して、肩から打面までを一直線上になるように振っていきます。
スティックのどこを持てばいいのか?
ここでスティックを持つ時にスティックのどの辺りを持つのがいいのか?という疑問が出てきます。
スティックは打面を叩いた時に一番跳ね返りが大きい位置を支点として持ちます。このスティックを持つ位置をバランスポイントといいこのバランスポイントでスティックを持つことによってスティックの跳ね返りを最大限活かすことができます。
バランスポイントはスティックを人差し指の上に乗せハイハットなどを叩いていきます。バランスポイントより短めに持っても長めに持っても跳ね返りがあまりありません。 この跳ね返りが一番大きいポイントでスティックを持つことが重要です。
いかがでしたでしょうか?
今回は、スティックの持ち方と叩き方について解説していきましたが、持ち方の種類や合理的な叩き方などご理解いただけたでしょうか?
スティックの持ち方や叩き方などはあまり気にしない方が多いようですが、意外と重要でスティックを持つ場所や手の振り方返し方などをしっかりマスターすることで遅いテンポにも早いテンポにもしっかりと対応でき早く叩くことはもちろん正確なショットができるようになります。
ドラム歴が長くなるにつれて修正することにも時間がかかりますので、できるだけ早めに正しい叩き方でスティックコントロールができるようトレーニングを積んでいってもらいたいと思います。
フィールドミュージックスクール代表。
都内音楽学校にて本格的に学び、卒業後は石川さゆりのツアーサポートはじめ薬師丸ひろ子、葛城ユキなど数々のアーティストのレコーディングやテレビ出演、コンサートツアーなどスタジオミュージシャンとして活動する。