こんにちは。フィールドミュージックスクールドラム講師の森田です。
今回は、ドラムをやられている方なら一度は悩んだことがあるであろう『ドラムで手を早く正確に叩くには!』をテーマに初心者の方でも経験者の方でも合理的な叩き方を分かりやすく解説していきます。
当ドラムスクールの生徒さんの中でも力が入っていたり、合理的な動きができていなくて早く正確に動かすのに苦労している生徒さんがたくさんいらっしゃいますので、もっと早く!もっと正確に!スティックをコントロールしたい方はぜひ参考にしてみてください!
目次
1、手を早く正確に叩けない原因
手が思うように動かない。叩きたいテンポで叩けない。すぐ疲れてしまうといった方の原因は必ずあります。 まずは何が原因で思うように叩けないのかを知り正しい叩き方をマスターしていきましょう。
①腕が動いている 手を早く動かせない方の一番多い原因が腕で叩いていることです。 動画1をご覧ください。主に腕が動いてしまっています。
ドラムを演奏するテンポはだいたい80?180位が一番多いかと思います。 このテンポに対応するには、腕を支点としていたらスピードについていくことはまず難しいかと思います。
腕が動いている叩き方だと頑張ってもテンポは140くらいが限界かと思います。 早く動かない方のほとんどは腕もしくは腕と手首で叩いていて、しかも手首はほとんど動いていない事が原因です。
(動画1)
②指だけで叩いている 腕だけで叩いている方の次に多いのが、早く細かく動かしたいがために指を支点にして指だけで叩く方も多くいらっしゃいます。 この叩き方は、マーチングや吹奏楽をやっている方に多く見かけます。(動画2)
なぜこの叩き方が悪いかというと、まずこれだと音量に限界があります。 指だけを使って叩くとスティックの上げ幅が低く大きな音量が出ません。
また、音の強弱をつけようにもスティックの高低差がないと音量の強弱もつけられなくなります。 次に指だけで叩くと細かい動きやダブルストロークなどを叩く時には使えますが、遅いテンポの時など様々なテンポにも対応したコントロールが難しくなります。
(動画2)
2、どの部位を使うか?
では、どの部位を使うのが一番合理的なのでしょうか?
人間の手は肩から肘、手首、指と伸びています。ドラムを叩く時には、この4つの部位のうちどれを支点とするか?が重要になってきます。 では、どこを支点にして叩くのがいいのか?
それは手首です。
叩くスピードを上げるにはまず手首で叩く意識をもって叩きましょう。
動画3を見ていただくと腕はほとんど動いておらず手首で叩いているのが分かるかと思います。
ドラムを演奏するテンポのほとんどは手首を使った叩き方でまかなえますし、トレーニングしていけばテンポ170の16分音符くらいまでは手首のみで叩けるようになります。
手を早くしかも正確に叩くには手首を使った叩き方をマスターする事が近道になります。
(動画3)
3、手首で叩く時の注意点
手首で叩くといってもただ闇雲に手首だけで叩けばいいというものでもありません。 いくつか注意点がありますので意識して練習してみてください。
①親指を上に向けない いわゆるフレンチグリップというものです。 動画5と6を比較していただくと分かるように親指が上に向いていると手首の可動域はごくわずかです。しかし、手の甲を上に向けると手首の可動域は何倍にもなります。
この叩き方は指で叩く時によく使われる握り方ですが、親指が上に向いていると手首の可動域が小さく手首で叩く時には向いていません。 親指が上に向いている方はほとんどが手首を使えてないので、手の甲を上に向けるようにしてみてください。
(動画4)
(動画5)
(動画6)
②手の甲を上に向けすぎない
これは①で書いたことに矛盾しているようですが、手の甲を上に向けるがあまりスティックの返りが外側に向いてしまうと手からのパワーをうまくスティックに伝えることができません。
人の手は肩から出てるのでスティックの返りは肩に返るのがベストです。
動画8は肩の方向にスティックが返ってきています。 しっかりと肩に返るように手首をどの辺りまで内側に向けるか?を試行錯誤してみてください。
(動画7)
叩いた後のスティックの返りが肩よりも外側に向いてしまっています。
(動画8)
③全ての指をスティックから離さない これも意外と多くの方がなってしまってる叩き方です。
スティックを握った時に小指や薬指が離れてるということはその分スティックが安定しないという事です。
安定しないとコントロールもパワーも伝わりません。手首を使って叩く時も指を使って叩く時も全ての指はスティックから離れる時がないよう注意してください。
動画9のように薬指、小指が離れてしまっていると、親指、人差し指、中指のみで支えていることになります。
(動画9)
4、手首を前に向けるようにしてしっかり返す
以上のことを踏まえて首を意識しながら叩いていきます。
まずはテンポ90の8分音符くらいから始めてみて下さい。まだテンポも遅いのでしっかり手首が肩に当たるくらいまで返っているか?手首の角度は?全ての指はスティックに触れているか?返る方向は肩に向かっているか?肩よりも外や内側に返ってないか?などを確認しながら行って下さい。
慣れてきたら4分音符でバスドラムを踏みながら手は4分音符と8分音符を繰り返し少しづつテンポを上げていってください。
5、力を抜く
テンポが早くなってくると当然手は疲れてきます。
手首で叩けていれば腕にかかる負担は減り腕に対する痛みや疲れはなくなってくるかと思います。
しかし、叩く意識が強いとテンポが早くなるにつれてスティックの振り幅も小さくなり叩くというより押さえつけるような叩き方になってしまいます。
テンポが早くなればなるほど上半身の力を抜き、叩くよりも上げる方に意識を向けてください。
6、押さえつけるのではなく勢いをつけてあげる
ドラムの打面はプラスティックのヘッドを張ってあるので、叩くと跳ね返ってくる習性をもっています。
いわばバスケットボールのドリブルのようなイメージです。ボールを地面に突くときに地面まで勢いよくボールを押し込むでしょうか?それではボールは弾んでこないと思います。
ドラムを叩くのも同じ要領です。
一番高い位置から打面に当たるまで力で押し込んでいるとうまく弾んでくれません。 それによってコントロールができなくなります。
スティックを押さえつけるのではなく上がってきたスティックを次に跳ね返ってくるように一番高い位置から一瞬だけ勢いをつけて上げてください。
動画10のように叩く意識よりスティックを振る意識で叩くとスティックの先端に遠心力が生まれ少しスティックが飛んでいきそうな重さを感じるかと思います。
(動画10)
7、まとめ
一つ一つ難しいようですが、しっかりと意識をしていけば必ずできるようになります。
コツコツとやっていくうちに「ちょっとわかったかも?」という日が必ずきます。諦めなければ可能性はあるので少しづつやってみてください!!
決して焦らず、先を急がないように・・・Good Luck
フィールドミュージックスクール代表。
都内音楽学校にて本格的に学び、卒業後は石川さゆりのツアーサポートはじめ薬師丸ひろ子、葛城ユキなど数々のアーティストのレコーディングやテレビ出演、コンサートツアーなどスタジオミュージシャンとして活動する。