楽器を弾いたり歌を歌ったりすると「もっと拍を感じて」とか「メトロノームを裏拍で鳴らして」とか言われたりしたことはありませんか?
そんな時「拍って何?」と思われた方も多いかと思います。音符とも休符とも違うこの拍がどのようなものなのか?拍を意識して楽器を演奏したり歌を歌ったりすればどのような効果があるのかをわかりやすく解説していきます。
目次
拍とは何?
では拍とはなんなのでしょうか?
言葉辞典では、音楽のリズムを構成する単位。と書かれていますが、リズムを構成する単位と言われてもピンとこないですよね。
ドラムを叩くフレーズもギターのストロークも4分音符や8分音符など様々なリズムを組み合わせて成り立っています。歌のメロディーも音符や休符などが混ざり合って成り立っています。
それと同時に全ての音楽にはテンポがあります。(中にはテンポが一定ではない音楽もありますが・・) リズムには様々な音符や休符が混ざり合って複雑なリズムが形成されます。
それに対して拍は同じ一定の早さのリズムになります。 たとえば、ライブなどで観客が手拍子をしている光景をよく見ます。その手拍子の取り方は人それぞれですが、みなさん共通しているのは一定の早さのリズムだということです。
音楽を聴いていて手拍子をするときに色んなリズムを混ぜて手拍子で叩く人は見たことがありません。 この一定のリズムのことを拍と言います。
一定のリズムであればなんでもいい?
では、一定のリズムであればなんでもいいんでしょうか?
答えはNOです。
拍にはその音楽にあった拍があります。 それは楽譜の最初に書いてある拍子記号を見ればわかります。
例えば、4分の4拍子の場合はその曲の基準の音符は4分音符になりますので、4分音符がその曲の拍となります。 同様に4分の3拍子でも4分音符が基準になりますので4分音符が拍になります。
8分の6拍子や8分の7拍子では8分音符が基準になりますので8分音符が拍になります。 2分の2拍子の場合は2分音符がその曲の基準になりますので2分音符が拍になります。
このように拍がなんなのかを見つけるには楽譜を見るのが一番わかりやすいと思います。
曲を聴いても拍がわからない
では、拍は譜面を見なくては分からないのでしょうか?
拍は曲を聴いただけでもわかります。
しかし、曲を聴いてもどれが拍なのかが分からないという方がほとんどです。それは曲を聴いただけでは拍の取り方が人によって違うからです。 みなさんがよく知っている「カエルの歌」を例にとってみましょう。
この曲は4拍子の曲なので1・2・3・4を繰り返して手拍子を叩いていきます。 1つ目の音源は下の図のように「カエルのうたが」の言葉一つに対し1つづつ手拍子をしています。
したがって「カエルのうたが聞こえてくるよ」までのメロディーに対して1234のカウントが4回、すなわち4小節分になっています。 次に2つ目の音源です。
こちらは歌詞の言葉2つに対し手拍子を1つ叩いています。 したがって「カエルのうたが聞こえてくるよ」までのメロディーに対して1234のカウントが2回、すなわち2小節分になっています。 では3つ目の音源です。
こちらは歌詞の言葉1つに対し2つの手拍子を叩いています。 したがって「カエルのうたが聞こえてくるよ」までのメロディーに対して1234のカウントが8回、すなわち8小節分になっています。 みなさんはこの曲で手拍子をするときにこの3つのうちどのタイミングで手拍子するのが一番心地いいでしょうか? これはどれが正解でどれが不正解というのはありません。
拍とは何?の部分でも説明しているように音楽を聴いて手拍子をするタイミングというのは人によって差があります。 ただ3番のように細かく手拍子をする方は少数かと思います。
曲を聴いてどのタイミングに4分音符を置くかというのは個人差がありますので、それによって楽譜の書き方も違ってきます。
1番のメロディーのリズムを楽譜に書くと1文字分を4分音符としてとっているので 上の楽譜のように4分音符で書くことになります。
2番のメロディーは2文字分を4分音符としてとっているので、8分音符で書くことになります。
3番のメロディーは1文字分を4分音符2つ分としてとっているので、2分音符で書くことになります。
このように楽譜は書く人によって微妙に変わってきます。なのでどれも正解です。 が、拍はテンポを表示する役割も果たしているので3番のようにたくさんの拍があるということはテンポもその分早くなり曲自体が慌てているように聞こえてきます。
また3番のように2分音符で書くと小節数が多くなり楽譜を読む側からしたら譜面が見にくくなってしまします。
ですので聞き手にとって心地いい拍、すなわちテンポで書くことがより見やすく読みやすい譜面だと言えます。 もう1つ拍はできるだけ大きくとったほうがリズムが安定します。
リズムは拍を中心に細かなリズムや大きなリズムを組み合わせて複雑なリズムを形成しているので、あまり細かな拍だと拍に合わせるのが大変になります。
その分拍を大きくとっていると合わせるポイントが少なくなりより正確なリズムが刻めるということです。しかし大きくとりすぎてもリズムが曖昧になりやすくなりますが、、、 その曲での拍を感じるポイントとしてはたくさんの曲を聴いて一番心地いい拍を見つけることです。
拍を感じるということ
よく歌を歌ったり、楽器を弾いていてリズムが悪いと「拍を感じて」と言われることがありますが、リズムキープをしたりアンサンブルしたりする時に心地いいリズムを聴いている方に感じさせるには、自分自身がまさにこの拍を意識して感じることが重要になってきます。
歌うときのメロディーやギターのバッキング、ベースのフレーズ、ドラムのフィルインなどはさまざまな音符や休符を組み合わせて複雑なリズムが成り立っています。
その複雑なリズムをしっかりとリズムキープしながら演奏するにはまずこの同じリズムで流れている拍をしっかり意識して感じていなければなりません。 どんなに複雑なリズムでもこの拍の上にあるのです。
したがって複雑なリズムになればなるほど拍をとれていないとリズムを合わせることはプロであっても無理です。拍を意識し、拍を感じその上でいろんなリズムを表現できればリズム感がないということはまずありません。
いかがでしょうか? 今回は「拍」についてお話ししていきました。
簡単なようで難しいというのが皆さんがまず音楽に対して感じることではないでしょうか? いろんな知識や技術を身につければ身につけるほど音楽は楽しくなってくると思います。
拍を感じてリズム感UPできるよう少しでも参考になればと思います。
フィールドミュージックスクール代表。
都内音楽学校にて本格的に学び、卒業後は石川さゆりのツアーサポートはじめ薬師丸ひろ子、葛城ユキなど数々のアーティストのレコーディングやテレビ出演、コンサートツアーなどスタジオミュージシャンとして活動する。